4.たまごパワーで健康づくり

(1)必須アミノ酸のメチオニンは、がん予防に大きな働きがあることがわかってきました。また、メチオニンは肝臓でアルコールなどを分解するときに必要な成分で、二日酔いの薬に入っています。たまご100グラムには、このメチオニンが約400mgも含まれており、これは他の食品に比べてずば抜けて多い数値です。たまご料理をたべて、肝臓を守りましょう。

(2)たまごの良質のタンパク質は、体内に取り込まれると血管を強くし、しなやかな弾力性を保ちます。このため、血圧の上昇を防ぎ、脳出血の予防にも効果的です。

(3)食品の摂取後の血糖値の上昇を比較した値がGI(グリセミック・インデックス)値ですが、たまごのGI値は30で食パン(GI値95)の約3分の1と低く、1個(65g)あたりのカロリーは86kiと低い食品です。また、たまごは良質のタンパク質なので筋肉量を減らさずに脂肪を燃焼させる効果もあります。更に、アミノ酸の中には、チロシンのように交換神経を活性化させる作用のあるものがあります。交換神経はエネルギー消費を促し、脂肪を分解する働きをします。また、アルギニンなどは成長ホルモンの分泌を促進し、脂肪を分解させる働きをします。そして、たまごは満腹感が持続する食品なので、健康的にダイエットするにはかかせない食べ物といえます。健康を維持するには食品のGI値を知ることも重要なポイントです。 たまごは、タンパク質食品の中でもとりわけGI値が低い食品です。

主な食品のGI値


(4)人間の体は、炭水化物を大量に摂取し血糖値を急上昇させてしまうと、インスリンが大量に分泌され、血糖値を下げる働きをします。この時、血糖値が下がると人間は空腹感を感じてしまいます。ここで、再び血糖値を急上昇させる食物を摂取してしまと、これが繰り返され肥満となってしまいます。血糖値をあまり上げない糖質制限食が今注目されています。

(5)食事制限ダイエットの失敗の理由のひとつに、蛋白質の摂取量が足りないことが挙げられます。食事制限により蛋白質の摂取量が不足すると筋肉が壊され(筋肉量が減少)体重は減少しても体脂肪率は増加してしまいます。このため、基礎代謝量(エネルギーの消費)が更に減少することになり、食事制限ダイエットを止めたとたんにリバウンドすることになります。 健康的にダイエットするには、良質なタンパク質を多く含んだ食べ物を摂り、筋肉量を落とさず、運動をすることで、基礎代謝をアップすることが大切です。たまごは、イソロイシン、ロイシン、バリン、アルギニンなど筋肉の損傷を防ぐ効果があるアミノ酸や脂肪を分解するアミノ酸を多く含んでおり、たまごを使った料理はダイエットには不可欠な食品と言えます。

(6)人間の1日当たりに必要な蛋白質の摂取量は、体重1sあたり1g/日が必要です。体重60sの成人では60gの蛋白質が必要となります。たまご1個(65g)には蛋白質が7g含まれているので、たまご1個から成人(60s)が必要な蛋白質量の約12%を摂取できます。

(7)美肌を保つには、角質層(肌の表面を覆っている層)に含まれる天然保湿因子が決めてです。この天然保湿因子の約半分はアミノ酸とアミノ酸から生成される成分で占められています。常に、アミノ酸を補充することが、美肌を保つポイントとなります。また、健康的な肌はコラーゲン層によって保たれています。コラーゲンの主原料はプロリンなどのアミノ酸です。アミノ酸は細胞に運ばれコラーゲンに合成されます。コラーゲンは、加齢とともに低下していきますが、毎日たまごを食べてアミノ酸を補充することで、新しいコラーゲンを合成し肌を活性化させ若々しいお肌を保つことができます。

(8)たまごに含まれるアミノ酸の一つにアルギニンがあります。このアルギニンはインスリンの分泌を促進する働きがあり、糖尿病などの予防にも効果があると言われています。たまごを食べて、健康づくりに役立てましょう。

(9)アルツハイマー型痴呆症の人の脳には、神経伝達物質のアセチルコリンが足りないことがわっかています。アセチルコリンは、脳の記憶や学習と深いかかわりをもつ物質で、リン脂質のコリンが体内に入ると、アセチルコリンに変化します。たまごは全ての食品の中でも最もコリンの含有率が高く、大豆の3倍もあります。また、最も効果を発揮することが認められています。

(10)妊娠期のお母さんが、たまごを食べてたっぷりコリンを摂取すると、胎児は母親に比べて血中のコリンの濃度が7倍に上昇することが分かっています。また、授乳期に母親がコリンをしっかり摂取すると、母乳には多量のコリンが含まれるそうです。なお、新生児期の赤ちゃんがコリンをしっかり摂取すると、高齢になったときに記憶障害の程度が軽くなることも解明されています。

食品中のコリンの含有量


(11)殻付の生卵が腐らないのには理由があります。まず、たまごは卵殻で覆われており直接卵殻内に細菌が入らないようになっています。次に、卵殻の内側には2層の卵殻膜(ゆで卵を剥くときに白身の周りを覆っている膜)があり、空気は通しますが空気より大きい細菌は通さない構造となっていてバリアの役目をしています。更に、卵白のph(ペーハー)は9と細菌が繁殖できない環境にあるうえ、外から侵入してきた細菌を殺す酵素(リゾチーム)があり、たまごは3重4重の安全装置を伴ったカプセルのようなものなのです。 (注:ただし、卵殻にヒビが入ったものや、殻が割れたものは、腐敗しやすくなりますから、できるだけ早く加熱処理して食べましょう。)

(12)たまごの卵白には、細菌を殺す酵素のリゾチームが多く含まれています。この、リゾチームは風邪薬や目薬などの一般医薬品に使用されているもので、卵白から精製されています。「風邪をひいたらたまご酒」というのは理にかなったものと言えます。